留学体験記

分子遺伝学講座

医学部 3年 森下 奏

 私は、海外基礎配属のプログラムにて、アメリカはフィラデルフィアのペンシルベニア大学(UPenn )に留学しました。世界的にも有数の高度な研究活動が行われる大学とあり、そのような場所でやっていけるのか大変心配でありましたが、たくさんの先生方のおかげでとても充実した留学生活となりました。この貴重な経験を体験談としてまとめましたので、留学を考えている方、或いはこれから留学する方の参考になれば幸いです。

  私は分子遺伝学講座 井上先生の主催する輪読会に参加させていただいており、そのご縁で、井上先生の研究テーマである補体に関して興味を抱いたことが、この教室で勉強することになったきっかけです。留学先のSong先生の教室も井上先生と同じく、補体の研究を行う実験室でした。留学の期間はおよそ3か月間におよび、初めの1か月は実験に参加するための手続きや講習会を行い、2か月目にラボのメンバーの実験のお手伝いを、そして最後の1か月に自分で独立した実験を行いました。慣れない英語の環境下で実験原理や手技の説明を受け、苦労をすることもありましたが、現地の先生方と積極的に会話し、自身の疑問を無くすことが大切でした。定期的に開催されるシンポジウムでは様々な国の方のそして補体に関わらず、様々なテーマのプレゼンテーションを聞き、海外で学ぶための英語の重要性と自分の研究分野以外に対する好奇心を持つことの重要性を実感することとなりました。またUPennで研究を行っている日本人の先生方と交流する機会にも恵まれ、基礎医学を研究する医師としてのキャリアや勉強に対する姿勢についてご教示いただけ、アメリカの臨床現場で働く日本人医師の先生の手術を見学することもできました。これから、和歌山医大での勉強をさらに頑張ろうと思うとともに、自分の将来を改めて考えるきっかけにもなりました。

   放課後や休日は、現地でできた友達とご飯を食べに行ったり、遊びに行ったりしていました。フィラデルフィアは少し治安が心配される都市ですが、しっかり気を付けて行動すれば、歴史的な趣を感じたり、たくさんの学生と交流を深めたりすることが出来る良い場所でした。また、ニューヨークやワシントンDCといった観光地もほど近く、ブロードウェイ本場のショーを鑑賞しに行ったり、スミソニアン博物館に行ったりと日々の勉強から少し離れ、息抜きを行うのにもよい地域であったと感じました。

 言語に関して、日本人はディスアドバンテージを背負っていると一般的に言われていると思います。実際に日本人の英語は、他の非母国語話者(例えばイタリア人や中国人)と比べ発音が悪かったり、イントネーションがおかしかったりすると思います。しかしながら、印象的だったことに、お世辞に英語が上手とは言えない日本人の先生のプレゼンテーションにたくさんの人が食いつき、質問の手が収まらないという現場を私は目にすることが出来ました。あくまで、研究の場に関してですが、例えば正しい「R」の発音ができないからだというような理由で英語に対して、物怖じしなくともいいのではないかと感じました。

   この留学を通して、改めて研究活動の重要性と難しさを感じ、基礎医学の勉強も、もちろん英語の勉強も頑張ろうと思えました。また、長期間に渡り海外で過ごした経験は、相手の興味を引くことが出来るような医師になるという目標にもつながり、英語を話すことに対する苦手意識もなくなりました。この3か月間で、ここには書ききれないほど、たくさんの人と経験に触れることが出来、とても濃い時間を過ごせました。

  最後になりましたが、留学のご支援をしてくださった神人先生、改正先生、井上先生、留学前の指導をくださった片山先生、馬場先生、留学をサポートしてくださった国際交流センターの林さん、UPennのSong先生、Song LabのLab メンバー、並びにお世話になりました全ての方にこの場をお借りして心より感謝申し上げます。これからも、世界に目を向けながら、さらに励んでいきたいと思います。

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